ハカセ桜(第3回)
苦しかった時期の記念として、当時住んでいた敷地の一角にこっそり植えた桜の苗木。四半世紀を経て桜は大木になっていた。私が抱えていた思いを、この木が一身に受け止めて育ってくれたみたいで嬉しくなりました。<宇治のハカセ桜>の四季をレポートします。
福岡 伸一
2026.07.31
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夏の嵐
蒸し暑くうだるような熱気に包まれる夏。何もやる気が起きないが、夏のほんとうの姿はもっと別のところにあるのかもしれない。そんな風に感じるのは、ヴィヴァルディの「四季」の中の“夏”を思い出すからだ。“夏”は、3つの楽章から構成されているが、ことさらすばらしいのは第3楽章の<Presto>である。「四季」全体の中でも最も劇的で、絶え間ない16分音符の疾走、音程の急激な上下、ヴァイオリンの途切れることなき緊張が続く。つまりこれは夏の嵐だ。豪雨、稲妻、雷鳴、暴風が猛烈な勢いで描かれる。